市政の動き−市政の動き

【15.10.17】武雄市図書館を視察

ツタヤ図書館は市民の図書館か

  小牧市の住民投票で反対多数となり、何かと注目を集めているTSUTAYA図書館第1号の佐賀県の武雄市図書館を党議員団(リフォームの会、江政クラブも合同)で視察しました。

お隣の小牧市では、市議選と同時の10月4日に行われたツタヤによる新図書館計画の賛否を問う住民投票で「反対」が「賛成」を上回りました。

小牧市長は、老朽化した現図書館に替わる新図書館の建設を市直営から民間委託に転換。レンタル大手ツタヤの親会社CCC(カルチチュア・コンビニエンス・クラブ)と連携し、書店やカフェを併設した図書館計画を発表。

これは小牧駅前のにぎわい創出を最大の目的に、教育施設の公立図書館を集客・商業施設に変質させる邪道の計画。初のツタヤ図書館で、入館者が4倍化し一躍有名となった武雄市図書館をモデルにしています。

ところが、モデル1号の武雄市図書館では、貴重な郷土史研究資料の大量廃棄やツタヤ系書店からの中古本買取りなどの不祥事が報道され住民訴訟も起こされ、また、ツタヤ図書館第2号として10月1日にリニューアルオープンした神奈川県海老名市立中央図書館でも、不適切な選書がわかり問題となっています。

小牧市の日本共産党と市民グループ「小牧の図書館を考える会」は、30億円の事業費が50億円にも膨れ上がったツタヤ図書館計画を批判。

「図書館を民間に丸投げすれば、司書の人件費が削られ、質が低下する。図書館は商業施設ではない。ツタヤのためでなく、市民のための公立図書館を」と住民投票や市議選で訴え、市民多数の賛同を得ました。

江南市では、9年前から民間(指定管理)の運営です。館長以下常勤の職員全員が1年契約という不安定で低賃金の非正規雇用。職員の努力で、直営時より貸出冊数が増え、取り組みも多彩になってきていますが、このままの状態で良いとは思えません。

お隣の小牧市民が住民投票を通じて図書館問題を真剣に考えたように、江南市でも市民が図書館のあり方について関心を寄せ真剣に考えることが求められています。

  10月15日、武雄市図書館を訪問し、まず道路沿いにある「武雄市図書館」の表示板に、スターバックスの緑色のロゴが堂々と入っていてビックリ。この図書館の本質が現れているようでした。

図書館入口付近の一番良い場所は、スターバックスカフェとTSUTAYAの書籍・文具の販売コーナーが占拠。公立図書館では、便利な入口付近には児童書や絵本などの子どもたち向けのコーナーがあるのが普通ですが、武雄市では、ツタヤの販売用雑誌類がずらり並んだ「マガジンストリート」を通り抜けた一番奥の狭いスペースが、児童書と絵本のコーナーで、読み聞かせの部屋は見当たりませんでした。

図書館の図書自動貸出機がなんとTSUTAYA書籍の自動販売機(レジ)を兼ねており、図書館の司書は書店員として書籍販売を行うのも仕事の一つ。ツタヤやファミリーマート、ガストなどで使えるTポイントカードが図書館利用カードとなっており、Tカードで図書を借りれば、一日3ポイント貯まるとか。まさにTSUTAYAのための図書館であって、市民のための図書館でないことを実感しました。

 子どもたちの読書活動推進の拠点となるべき市立図書館で、児童書コーナーが軽んじられているとしたら、由々しき問題。子どもたちはお金を持って図書館に来るわけではなく本や雑誌を買ってくれるお客でもないので、ツタヤ書店のターゲットになっていないのかと、勘ぐらずにはおられませんでした。

  もともとの武雄市図書館の建物自体が、木の梁を露出させた吹き抜け構造の格調高いつくり。これをツタヤ書店のノウハウを生かして改装。

天井近くまで本を積み上げた書架で囲んだ、オシャレで知的な雰囲気はさすがに居心地がよく、若者層の入館者が増えたのも頷けました。改装オープン後、入館者は約4倍、初年度年間92万人、2年目で80万人と激増。人口5万人に満たない、地方小都市の温泉町に、市外や県外からも多くの人たちが図書館目当てに押し寄せ、経済効果は年間20億円とか。

この集客力と利用者の満足度、経済効果は実績にちがいありません。様々な問題が発覚した直後の視察にもかかわらず、この日も江南市議会3会派以外にも関東方面から3市の議会議員が研修に訪れ、武雄市図書館の取り組みを絶賛していました。

 しかし、長期的に見たとき、図書館本来の役割である、市民の生涯学習を支え、知る権利を保障し、市の情報の拠点として地域の資料を収集蓄積、市民の生きる力を育む役割をTSUTAYA図書館が果たせるのか大いに疑問に思います。

 TSUTAYA図書館の中のDVD・CDレンタル部門が不振で、撤退の意向も示されているとか。儲からなくなれば、さっさと撤退するのが民間の常。スターバックスがこの先も出店し続ける保障もありません。
 商業ベースにのった流行を追う集客施設ではなく、やはり、図書館本来の役割をしっかりと果たす市民のための図書館が必要と感じました。

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